Works
実績紹介

新堂「BOOKMARK STORAGE」

外壁の焼杉板張りと内装の黒天井空間に、床のスリムな渋めの赤タイルが効果的に
新堂「BOOKMARK STORAGE」

Message

JR関西本線新堂駅の駅前整備計画のひとつとして、DMG森精機運営の図書館が出来上がった。
切妻形状の屋根をかぶった木造建築で、2階から見下ろした上部の黒色空間と床の特注赤のコントラストが大変美しく、農村風景の中に現れたシンボリックな存在にみえた。

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 三重県伊賀市、新堂駅前に生まれた図書館
「BOOKMARK STORAGE」。
ものづくり企業である DMG森精機 が伊賀市とともに運営するこの場所は、単なる「本を収蔵する施設」ではなく、人が思考し、立ち止まり、再び前へ進むための“知のストックヤード”として構想されています。

その静かな思想を足元から支える素材として、当社・TLCアソシエイツ のボーダータイルが、設計者の判断によって床仕上げに選ばれました。

この空間で求められたのは、強い主張や装飾性ではありません。
長時間の滞在に耐えうる落ち着き、視線を妨げない秩序、そして公共施設としての耐久性と安全性。そのすべてを満たしながら、空間の記憶として静かに残ること。ボーダータイルという連続性のある素材は、書架のリズムや本の背表紙の反復と呼応し、空間全体に一定のテンポを与えています。

焼きものとしての質感は、過度に新しさを主張することなく、時間の経過を受け入れる表情を持ちます。人の歩み、本を手に取る動作、椅子を引く音——日々の営みを受け止めながら、床はただ静かにそこにあり続ける。その姿勢こそが、この図書館の思想と重なっているように感じられます。

今回採用されたタイルは、既製品の中から選ばれたものではありません。設計者が描いた空間のイメージ、利用者の動線、光の入り方、メンテナンス性までを含めて対話を重ね、最終的な仕様としてかたちづくられました。私たちにとって施工例とは、「納めた実績」ではなく、「判断に寄り添った痕跡」だと考えています。

BOOKMARK STORAGEの床に敷かれたボーダータイルは、訪れる人の記憶に強く残る存在ではないかもしれません。しかし、気づかれないほど自然に、空間の質を底上げすることができたとしたら、それは素材として、そしてものづくりに携わる者としての最良の役割です。

本を読む時間、考える時間、何かを探す時間。
そのすべての足元に、私たちのタイルが静かに存在していることを、誇りに思います。

建築の価値は、目に見える部分だけで語られるものではありません。
見過ごされがちな場所にこそ、設計者の思想と素材の覚悟が宿る——
この施工事例は、そのことを改めて教えてくれる一件となりました。

Outline

名称
BOOKMARK STORAGE
所在地
三重県伊賀市新堂
設計
山﨑健太郎デザインワークショップ
施工
浅沼組
使用タイル
TLC社特注品 炻器質30mmボーダー
FB-7765MIX 
タイル施工
株式会社山陶