みどり化学 藤岡工場 品質管理棟 増築工事

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2018年の初回施工を起点に、この工場建築は静かに、しかし確かな意志をもって成長を続けてきました。
事務所棟の完成、その延長線上に加えられた2018年の品質管理棟、そして2021年に行われたさらなる増築工事。一本の軸線に沿って建物が連なり、用途と機能を更新しながら、敷地全体としての完成度を高めていく。その過程そのものが、この建築の履歴であり、思想でもあります。
工業団地ならではの広がりある敷地には、丁寧に整地された芝生が広がり、人工物と自然が互いを引き立て合う、穏やかで美しい風景が生まれています。建物群を包み込む緑は、季節ごとに表情を変え、煉瓦の壁面にやわらかな陰影を与えます。完成直後だけでなく、時間の経過とともに成熟していく姿が想像できる、希有な工場建築です。
外装に用いられているのは、オレンジ系の特注赤煉瓦色。写真では伝えきれない、わずかに揺らぎを含んだ実物の色彩は、周囲の空や芝生の緑、そして光の角度によって印象を変えます。赤煉瓦という素材がもつ温度や記憶を、現代の工場建築として丁寧に翻訳した色調と言えるでしょう。
本プロジェクトでは、増築のたびに特注赤煉瓦の色味を一から検討しています。窯のその時点の環境、原料の状態、焼成条件を細かく見極め、単に過去のロットに「似せる」ことを目的とはせず、その時に最も美しく焼き上がる色彩を探る。そうした判断を重ねながら、受注管理を行ってきました。結果として、各棟は連続性を保ちながらも、わずかな違いを内包し、建築としての奥行きを獲得しています。
都市部では使用機会の少なくなった赤煉瓦ですが、教育施設や工場といった、人の営みを支える象徴的な建築において、その存在感はやはり特別です。実直で、力強く、同時にどこか人間的な温もりを感じさせる赤。今回の現場は、赤煉瓦という素材が持つ本質的な魅力を、あらためて認識させてくれるものでした。
やがて敷地周辺の緑がさらに育ち、建物を包む風景が深まったとき、この煉瓦棟は、地域に根差したひとつの風景として、静かにその価値を語り続けることでしょう。
Outline
- 名称
- みどり化学藤岡工場4期工事品質管理棟増築工事
- 所在地
- 群馬県藤岡市
- 設計
- 渡辺建築設計事務所
- 施工
- 塚本建設
- 竣工
- 2021年8月
- 使用タイル
- TLC社特注赤 粗面二丁掛 弾性接着剤張り用
- タイル施工
- TLCアソシエイツ
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