Brick Tile
レンガタイル

初めから専門用語で表現して申し訳ありませんが、私たちの扱う素材は「真空押出成形機」から粘土を押し出して成形する「湿式押出成形」のせっ器質レンガタイルです。
機械の製造のみならず手作業の部分兼ねながら建築用のレンガタイルを焼いています。

ご希望の壁面を創作する、自社ブランド「陶」toh

特注レンガタイルの「あなたの知らない世界」へご案内します

特注レンガタイルの施工事例(尾山台の家)

特注レンガタイルの「あなたの知らない世界」とは?

◆知られざる焼物の魅力
特注レンガタイルの持つ色彩、形状、面状の素材感が、さらに光と影との偶然性も伴って
壁面を一気に魅力的な壁面に変化させます。

◆既製品では表現できない芸術性
既製品は使われる壁の最終イメージまで想定して作られていません。
特注レンガタイルでは、設計コンセプトを忠実に具現化できるよう作り込むことによって、
はじめて芸術性の高い建築物を造ることができます。

◆設計事務所専用の工房
ご希望の壁面を実現するプロの専門職人として創作する
専用の窯元となります。

千葉商船ビルの外壁タイル

60x210x20ワイヤーカット面+特注ローラー掛 弾性ボンド張り 千葉商船ビル

百日紅のある家の細ボーダータイル

ボーダータイル18x200 ブリック目地18mm平目地仕上げ 小間返し張り

伝統の力

青空に映える還元焼成タイル(テッセラ二丁掛)

日本の建築物を「ま・と・い」続けてきた建築用レンガタイルの歴史

人と自然のあいだに築される奥行きのある美しさ。
還元焼成のレンガタイルには長い時が刻まれています。

伝統を再興した「陶」toh。

ひとつひとつが微妙に異なる作品には人の技と奔放な炎の物語が力強く描かれています。

※「陶」toh は、TLCアソシエイツ社のオリジナルブランドです。

わたくしたちTLCがお勧めする『陶』は、伝統的な還元焼成法でつくれれた建築用レンガタイルです。
還元焼成は、”粘土”の性質をできる限り引きだすことで深みのある色を生み、全体に重厚な仕上がりを実現します。

窯の中の炎の状態が、粘土に含まれる酸化鉄に影響して、”微妙な色むら”となる窯変を作り出します。専用の窯と熟練した技を未だ必要とする伝統的工芸技術です。
レンガタイル『陶』tohには、炎と土と人によってつくり出される自然な風格が備わっています。
わたくしたちは、この伝統的なタイルをプロデュースしています。量産型のものでは表現できないタイル一枚一枚の個性によって、質が高く寿命の長い建物づくりをいたします。焼き物の本質にご興味の有る方は、お問い合わせください。

還元窯

焼成環境:還元焼成と酸化焼成

トンネル窯で焼成されるせっ器質タイル

トンネル窯:乾燥させたレンガタイルを台車に積みゆっくりと時間をかけて焼成します。ご注文頂いた色によって還元焼成と酸化焼成を使い分けます。

トンネル窯から焼きあがって来たレンガタイルの数々

台車の上に井桁に積まれたタイルは、数十時間の焼成を経て窯から出てきます。その後、ゆっくりと熱をさまし、分離工程へ進みます。

酸化と還元について

還元焼成窯の炎

焼成における酸素濃度の違い

レンガタイルの焼成方法には酸化・還元の2種類があります。
一般的なタイルは、酸化焼成によって製造されますが、土の風合いを強調したり、窯変タイルとよばれるものを作る際には、しばしば還元焼成が用いられます。
特に、当社では色彩に冴(サエ)を要求する為に必ずといっていいほど、最低限部分的にでも還元焼成にて製造しています。

還元焼成とは、燃焼に必要な窯内の空気が不足した状態でタイルを焼成する方法で、十分に空気を供給して焼成する酸化焼成と対比されます。
酸化・還元の焼成方法の違いは、釉薬または素地中の金属化合物の化学変化に影響を及ぼします。

酸素が充分な窯内での燃焼と不足した窯内の燃焼では、タイルの素地(成形し、乾燥させた生地)と窯の内部の状態において化学反応が違ってきます。

酸化焼成時には、窯の中の酸素濃度は重量比でおよそ6パーセントとなります。
レンガタイルの発色に用いられる代表的な金属化合物である鉄化合物の化学反応を例にとると、タイルの釉薬や素地中には酸化第一鉄と酸化第二鉄の2種類の化合物が存在し、酸化焼成の場合、酸化第一鉄と酸素が反応して酸化第二鉄となります。
一方、還元焼成では焼成温度が最高温度に達する前の加熱帯において、窯内の酸素を欠乏させます。
ここでの燃焼により酸素が酸化第二鉄からうばわれ酸化第一鉄となり、酸化とは逆の反応が起こります。
これが、還元の反応です。

この酸化と還元の反応の違いが釉薬あるいは素地の発色の違いとなって現れます。
酸素の欠乏状態の変化に応じて還元反応による発色が現れてきます。
土(生地)の中には、鉄・クロム・銅・コバルト・などさまざまな金属化合物が混入しています。この時、窯内の酸素濃度の変化と金属化合物の種類によって色の発色が変わってくるのです。
以上のように、還元焼成時の窯の中の酸素濃度は非常に不安定なため、微妙な色調が生じ、変化します。
特に還元焼成の場合、安定した発色を求める時にも、いずれも高い焼成技術と経験が必要とされます。
しかし、現況では焼成方法のみならず、原料自体が掘削地の環境や掘削条件の不安程度によって、色の再現や管理がたいへん難しい要因となっていることは確かです。
窯の外的要因である、四季・時間の変化・湿度・外気の風にすら影響されます。
このような特質を十分、ご理解の上 焼き物の美しさ、自然な発色の魅力を感じ取っていただければと思います。

具体的な、レンガの試作焼成等を経ながら、この還元の妙技をご説明いたします。

施工中「田園調布の家」強還元の色合い

酸化・還元による窯変レンガのグラデーションが壁面に現れます。

画像/「田園調布の家」強還元

レンガ生産技法

太陽を浴びる陶壁ボーダータイルの表情

せっ器質レンガタイルの表情を創るには、様々な手法があります。原料に加える添加物・シャモットなどの粒の大きさによる表現。斑点を加えたり、施釉を施したり。面状に物理的に(引っ掻き・なめし・ローラー掛・叩き・割り・はつり・ショットブラスト等々)加工したり。成型時の口金を変えたり。工房が長年経験してきた手法で多くの商品を生み出してきました。その中のほんの一部をご紹介します。

手はつりレンガタイル

新百合が原個人邸の擁壁レンガ(手はつりレンガ)

せっ器質レンガの得意技。「手はつり」
機械と手作業混合で「はつり」ます。いつの時代になっても廃れることがありません。重量感いっぱいの様々な表情を生み出す、贅沢なテクスチャ―です。

テッセラ(割り肌)レンガタイル

世田谷下高井戸の家(テッセラ二丁掛)

厚手に成型したレンガタイルを二つに割り、凹凸に分離したものがテッセラ(割肌)です。粘土の表層が割れ、剥がされることによって光の吸収が生じます。落ちつた陰影のある壁面を創ります。

粗面(ワイヤーカット)レンガタイル

神宮前施工例(粗面二丁掛)

「粗面」・「ラフ面」等気楽に呼ばれておりますが、まさに皮剥ぎです。
ワイヤーカットとも呼ばれ、抜き出しの表皮をめくっていきます。
とても柔らかい表情を醸し出し、原料のシャモット粒子の大小で、引かれる軌跡に変化を及ぼします。
レンガタイルの貴重な技法です。縦抜き、横抜き対応しております。
ピン角残しの面状が、レンガらしく基本的なテクスチャーです。ブリック目地との相性も抜群です。

ハンドメイドブリックス レンガタイル

ハンドメイドレンガタイルボーダー

粘土素地の柔らかいうちに、叩いたり擦ったりローラーを掛けたりしながら表情を創り出します。手作業での心地よい質感の技です。創作れんがの見事な一品物を作り出します。

成型役物

はつりレンガタイル白

建物の笠木、出隅、開口部、窓周り等
様々な場所に、粘土で一体成型した役物(曲、マグサ)が生まれます。特注品だからこそ納まりが重要です。特注金型形状も受注致します。

外壁レンガタイル 乱張り施工時のある考え方

60x227二丁掛乱張りをする時の考え方

職人任せにしない、小さなカット平を入れない乱張り

 

レンガタイル外装における乱張り(破れ目地)の構成には、いくつもの考え方があります。内装の一部や小ロットの施工であれば、乱張りの意図を理解した熟練の職人が、現場で壁と対話しながら即興的に納めていくことも可能でしょう。しかし、外装としてまとまった面積を構成する場合、現場判断に委ねる施工は、品質・コストの両面において合理的とは言えません。

現場で職人がその都度考えながら張り進める方法では、作業効率が低下し、結果として工事コストに反映されてしまいます。また、施工者ごとの判断や感覚の違いによって仕上がりにばらつきが生じ、設計意図として描いた「乱張りの表情」が再現されない可能性も否定できません。さらに、上下の破れ目地の関係から、50mm以下の小さな現場カットタイルを入れざるを得ない状況が生じ、意匠的にも納まり的にも苦しい部分が発生しやすくなります。

乱張りという表現は、一見すると自由度の高い張り方に見えますが、外装意匠として成立させるためには、むしろ明確なルールと割付の思想が不可欠です。特に二丁掛横張りにおいて、破片のような短辺カットタイルが壁面中央に入り込む構成は、遠景で見た際のリズムを崩し、素材本来の表情を損なう要因となります。左右端部や役物近辺など、構造的にやむを得ない部分を除き、二丁掛平の自然な繰り返しと織り込みがつくる景色を壁面全体として成立させることが重要であると考えています。

本図面のパターンは、こうした考え方を前提に構成しています。役物についても経済性と合理性を重視し、接着加工において1枚の平タイルから1個の役物が取れる寸法設定としています。これにより加工枚数を明確にカウントすることができ、材料計画の段階から無駄のない数量算出が可能となります。

また、施工管理のしやすさを考慮し、パターンは600ピッチで繰り返す構成としています。職人が墨出しによって管理しやすいモジュールとすることで、乱張りでありながらも現場での再現性を確保し、設計意図を正確に施工へと反映させることができます。単なる「ランダム」ではなく、秩序を内包した乱張りとして成立させることを目指しています。

意匠的な単調さを避けるため、役物の隣には異寸平を挟み込み、破れ目地のリズムを構成しています。規則性と不規則性のバランスを意識し、近景では素材の変化が感じられ、遠景では一体の壁面として落ち着いた表情となるよう配慮しています。

施工にあたっては、職人ごとに張り進める方向が異なるため、事前に職長の施工手順を確認した上で割付を最終調整します。右張り・左張りいずれの場合でも、最終的な入隅部分で破れ目地の関係を確認しながら、必要に応じてカット平を挿入して納めていきます。

入隅部分については、湿式タイル特有の寸法誤差も考慮し、現場カットでの調整を前提としています。押切りによる対応が可能な納まりとすることで、無理な加工を避け、職人の施工ストレスを軽減しながら安定した仕上がりを確保します。

このように、あらかじめ割付ルールと意匠の約束事を明確にしたデザインとすることで、設計段階から完成形を共有することが可能となります。設計者にとっては、施工前から完成イメージを具体的に描くことができ、施主への説明においても高い説得力を持たせることができます。また、施工管理者にとっても、材料発注時に必要数量および予備材を明確に算出でき、無理のない施工計画を立案することが可能となります。

乱張りという表現の自由度を活かしながらも、外装意匠としての完成度と再現性を担保するためには、設計・製作・施工が同じ思想を共有することが不可欠です。本パターンは、その共通言語となることを意図した割付デザインです。

レンガタイルをなぜ特注するのか

そして、何を特注するのか

レンガタイルという素材は、建築の内外装において、いまなお重要な位置を占める仕上材のひとつです。
かつては「高級感」を象徴する素材として語られることが多くありましたが、現在ではむしろ、素材感・陰影・揺らぎ・経年変化といった、空間の質をつくる要素として再評価されているように感じます。
加えて、耐久性・耐候性といった性能面においても、長期にわたり建築を守る被覆材としての優位性は、長年にわたり確かめられてきました。

一方で、レンガタイル全盛期から世代交代が進んだ現在、レンガタイルは「素材」ではなく「量産された建材」として認識されている場面も少なくありません。
本来、土・成形・乾燥・焼成という不安定要素を内包した極めてプリミティブな素材であるにもかかわらず、その特質が伝わる前に、標準化された製品群のイメージだけが先行してしまっているようにも感じます。

多くのメーカーや商社が「売れる商品」を前提に商品開発を行う以上、どうしても無難で平均化された表情へと収束していきます。
それは決して悪いことではありませんが、建築家がプロジェクトごとに思い描く「この建築にしか成立しない外壁イメージ」とは、しばしば距離が生じます。

実際、設計者の多くは、対象プロジェクトの思想から導かれた外壁像を、頭の中に明確に持っているはずです。
小面積であれば既製品の選択も成立しますが、100㎡を超えるような壁面になると、脳裏にある素材感そのものを具現化したいという欲求が生まれるのは自然なことだと思います。

住宅メーカーの規格住宅であれば標準品選択という判断も理解できます。
しかし、建築家のプロジェクトは本質的に受注生産です。
単なる「建材のセレクト」だけで完結することは少なく、モックアップを作成した段階で違和感を覚え、採用を見送るという経験をされた方も多いのではないでしょうか。

標準品から特注へと意識が向かうとき

では、どのような場面で「特注」という選択肢が現実味を帯びてくるのでしょうか。

1|建築全体の思想から外壁の責任が重くなるとき
空間構成や素材構成に明確なコンセプトがある場合、外壁レンガは形状・色・テクスチャーのすべてにおいて、強い必然性を求められます。周囲の素材との関係性から逆算すると、既製サイズ・既製色では成立しないケースが多くなります。

2|素材そのものに物語性が求められるとき
特に個人邸では、「あなただけの素材」であることが重要になります。
経年変化を含め、時間とともに価値が深まる素材であるかどうかも、大切な判断軸です。

3|外壁自体に“表現”を持たせたいとき
凹凸、目地の陰影、張りパターンによるリズム。
織物のような壁面構成や、石材とは異なる柔らかな重厚感など、レンガタイルならではの表現領域があります。

4|役物やディテールを含めた造形を行いたいとき
出隅、窓台、笠木、特殊形状などを組み合わせることで、壁面の完成度は大きく変わります。
湿式レンガタイルは、こうした造形的な展開と相性の良い素材です。

5|既成概念を壊す表情を求めるとき
白掛け、どぶづけ釉、古色調など、新築時から“古び”を内包した表情を持たせる手法も、近年多く見られます。
日本における「タイル観」を更新する試みとも言えるでしょう。

標準品が「答え」になりにくい時代

現在の市場では、昔のように大量在庫を持つ工場は減り、標準品であっても実質的には注文生産であるケースがほとんどです。
であれば、十分な検討期間が確保できるプロジェクトでは、最初から特注として考える方が合理的な場面も増えています。

そもそも標準品は、特定の建築家の思想を前提に設計されているわけではありません。
深い思想を前提に作り込むには、相応の手間とコストが必要になります。

レンガタイルは、「焼いたら完成」する素材ではありません。
建築空間の一部として練り上げられて初めて完成する素材です。
だからこそ、建築イメージがある程度固まった段階から検討が始まるのが理想です。

では、何を決めていくのか

特注とは、「形と色を選ぶこと」ではありません。
設計者の意図を製作者と共有し、翻訳していくプロセスです。

概算予算の把握と並行して、以下の要素を整理していきます。

大きさ・形状

窯の種類や台車寸法により、製作可能寸法には制約があります。
湿式押出成形の場合、口金交換で対応できる場合もありますが、金型製作が必要なケースもあります。
金型の有無はコストに大きく影響するため、初期段階での確認が重要です。

湿式レンガタイルにおける最大の魅力であり、最大の難所です。
原料土は天然素材であり、掘削ロットごとに性状が異なります。
焼成条件(温度・酸化/還元)や顔料添加の有無によって発色は大きく変化します。

小さな試作と、本焼きの大窯では結果が異なることも珍しくありません。
狙いの色に近づけるためには、製造技術者との対話が不可欠です。

厚み

標準は15mm前後が多いものの、テクスチャーが深くなるほど厚みは増します。
施工方法・重量・下地条件とも関係するため、意匠と同時に検討が必要です。

表面テクスチャー

フラット面から、荒らし、傷付け、化粧土付け、手加工まで幅広く対応可能です。
湿式素材は乾燥前の加工性が高く、意匠表現の自由度が非常に高い素材です。

役物

接着役物が主流になりつつありますが、成形役物には独特の説得力があります。
水切り、窓台、笠木、段鼻など、早期から検討することで表現の幅が広がります。

無釉か、施釉か

特に注意したいのが「薄釉レンガ」です。
薄い釉薬で土の細胞構造を覆うことで、湿式レンガ本来の素材感が損なわれる場合があります。
知った上で選択するのと、知らずに使うのとでは意味が異なります。

最後に

特注レンガタイルとは、自由度の高い素材を扱う行為であると同時に、
不確実性と向き合う行為でもあります。

しかし、そのプロセスの中でしか到達できない壁面が存在します。

もし、頭の中にぼんやりとした壁のイメージがあるなら、
それは「特注を検討すべきサイン」かもしれません。

そのイメージを、言葉にし、図にし、素材へと翻訳していく。
その伴走が、私たちの役割です。