外壁タイルの色を選ぶ重要ポイント

2-1

建築のイメージを表現する格好の素材「レンガタイル」。外壁を作る素材を選ぶ時にも、「カラーを選ぶ」というように、すでに実在するカラーチャートからただ番号を選び出すことができるならよいのですが、レンガタイルの場合はそうもいきません。

ただ単に1枚のタイルを選んでも、外壁という壁面として構成したタイルの集合壁面をみても同一のものとならないのがやっかいなところです。「外壁用に選んでください。」とは言ってはいますが、まったく新しい自由な色彩やテクスチャー、そして形状などイメージに応じてお創りしましょうということなのです。

あまりにも比較検討の作業の連続ですから、途中で頭がヒートアップして、何をどう判断して良いものなのか大変な迷い路に入り込むのも当然のことなのです。そんな覚悟をしてくださいね、ということでしょうか?

敷地の雰囲気からの心地良さ

Exif_JPEG_PICTURE

建物を計画している場所から、あなたのもっともお気に入りの距離を探してください。廻りの環境や道路事情によって、様々なものに遮られ、なかなかベストな場所が見つからないかもしれません。でも、竣工後の建築写真家にでもなったようにそのベストアングルを見つけ出しましょう。

そして、実際にシャッターを押して外壁の写真を撮ってみましょう。そのベストショットをプリントして、目立つところに張り、いつも心地よいカラーイメージを想像してください。

人間優先の空間創造が大切

ある個人邸の施主さんは、おっしゃいました。「仕事先から帰って玄関の扉を開ける数メーター前の場所から見上げたレンガの外壁面が、毎日たいへん心地良いと感ずる」と。このように近い距離からの心地良いものとやや遠く離れた場所から自宅の外壁を眺める心地良いものと判断する場合もあるでしょうし、何をもって心地良いとするのか、どこに心地良さを感ずるのかがほんとに重要なんですね。

ただし、地域によっては色彩景観への条例や様々な報告義務を要される場所もありますから注意が必要です。個人的感性とは言え、そこに暮らす人々の風景のひとつになるということは、大変重要な責務であるのです。

それぞれが単独に存在しているのではなく、周辺の色彩との関係の中に存在しているのです。美しい景観は、周辺との調和をなくしては出来上がりません。だからこそ、外壁に関しては色のみならずレンガの質感、素材感を景色の中に効果的に取り込みことにこそ新たな付加価値が生じ、自然の温もりが感じられるものと思います。

レンガタイルの色彩パレット

2-3

  1.レンガタイルメーカーのカタログを取り寄せる。

  2.レンガタイルメーカーのカラーチャートを取り寄せる。

  3.塗料用標準色見本帳を参考にする。

  4.DIC、大日本インキ化学のカラーガイドを参考にする。

など、すべてやめてください!

スタートを上記の方法から始めると、すべてスタートのカラーになぜか細かくこだわって何も進みません。カラーリングが合ってる合ってないの話で時間が過ぎていくのです。さあ!焼き物のトーンパレットを身体で得るには、街に出ましょう!良くも悪くも、街の中でいろんな外壁を見て、批判してください。良いとか悪いとか絶対に言いたくなるのです。皆一同評論家、批評家になってくるものなのです。どんなタイルでも、どこのメーカーや産地のものでもいいんです。見て感じてもらうのです。

表通りだけでは、ダメですよ。裏通りや人の通らない閑静な住宅街などの外壁が大変勉強になるのです。そこで、ご自分の今回のテーマーに近いカラー、お気に入りの彩の系統、まったくそぐわないカラーを見つけてもらうのです。風景に属する建物の彩りを脳裏にしまい込み、塗装や印刷でのカラーリングでは無い、なにか好印象として迫ってきたものとはいったい何なのか。そこからスタートして、今回の設計の意図、トーン計画の具体的彩りを様々なツールを使って模索していただきたいのです。

建築的色彩選びからすると、マンセルのトーン体系とかマンセル値、色相・明度・彩度など専門的に分析するのでしょうが、焼き物のレンガタイルを選び出すには、機械を使うこともできす、人間の目視した感性ならずして選びようがありません。ただし、様々な個々に蓄積された脳裏の彩りデーターの個人差が存在することは、仕方がないことです。目に今見えている彩りは、過去のデータと脳の検索力からくる感ずる力という事実は存在するからです。だから、どんどん進化します。この作業を行なった翌日から、あなたの街中での外壁タイルのカラーリング検索エンジンが活発に動きはじめ、たくさんのデータを集め始めてくれることでしょう。

その後、ゆっくりと初回の焼き物レンガタイルピースの実物や張り見本を通し、比較検討作業を進めていけばいいのです。試作、未本焼きは、まだまだ早いですよ。焦らないでください。腑に落ちるトーンを見つけ出してこそ、自然の温もりを持ち極めて人間的な素材としてのレンガの表層が、けっして廃れる事のない長い自然からの恵みとしてあなたに語りかけてくるのです。

素材の個性を理解する。

2-4

あなたは、外壁に使用するものの彩りに何を求めていますか?より精度の伴うムラのない無機質な素材なのでしょうか、それとも原料の土を焼いて創る炎の演出であるあのムラ(窯変・ヨウヘン)でしょうか?

また、ここに個人差があるのですよね。選ばれた彩りの焼成温度や土そのものの原料含有傾向によって予想外の発色となるのです。濃淡に限らず、特濃、濃、中、淡、半分淡など、その一枚一枚の発色は、貼って外壁面に落とし込まれた場合に、互いの濃度が影響しあってさらにまた別の発色をもたらすわけなのです。

もうここで、一般的にレンガタイルに見慣れない方々は、不安とともに判断基準が恐ろしく決め難く、自分だけの責任で判断することができなくなってくるのが通例です。外壁面に基準となる共通の視界距離基準を決め、タイル一枚のピースの彩りがどうこうのという感覚からは、もう無くなってしまうのです。まさに壁面を絵画の如くとらえ、どんなトーン構成で壁面がお気に入りのカラーリングと質感になっているのかを最終判断にしていかねばならないのです。

同じ原料から焼成された建築素材のレンガタイルをあれこれ焼き上がった中から、建築家が一見気に入らないものを「抜いて下さい。」というその場の判断は、そのカラー決定の工程の中では良くあることかもしれません。しかし、その結果どのような事が彩りのバランスにおいて起こるのか、お客様である、施主・建築士に説明可能な担当者は、現実にどのくらいいるものでしょうか?

人間の厳しくもかつ感性の眼線でとらえる審美眼は、単純なトーン構成から出来上がるものではなく、あるとことには、不具合とも感じるような同じ原料から焼かれたカラーのごく一部が混入することによって、なんとも調味料のようにあらたなものを表現してくれる場合もあるものなのです。だから、奥深い素材であって扱う我々が進化していかなければ反応できない素材なのかもしれません。

レンガタイルの生い立ち

2-5

レンガタイルなんて建築の工業製品のたんなる建材なのでしょうか?そうとも言えますね。日本じゅうのみならず、ヨーロッパ、東南アジアなどたくさんの建材が、相当な種類として市場に出廻っています。メーカーが国内なのか海外なのかはわかりますね。しかし、それぞれどんな教育をされ(人間扱いでの表現)生まれてきたのでしょうか?どんどん大量につくられ、見てくれ良く世界の誰にでもひいきにされながら大量に流通したいという性格は埋め込まれていますね。

電気製品でしたら、最低限の取説が付けられ販売されますが、建材の分野は論外ですね。なにかそれぞれの素材から感じ取られるものは、良くも悪くも伝わってきます。でも納得した理由はなかなかわかりません。当たり前のことですが、感性の鋭い建築家はすぐ判断してしまいますね。でも、一般人は自らセンスが良いと思っていても、これがなかなか難しいのです。擬石を判断できる人は多いでしょうが、焼き物の本質の判断は、まさに「開運!何でも鑑定団」番組の中島誠之助さんが焼き物の骨董品を鑑定するように、誰もができることではありません。おおげさな比喩ではありますが、建築の焼き物と茶器などの焼き物では、価値基準が違いすぎますから、、、、。

以上、とりわけ4点にまとめて書きましたが、想い入れ無く選択する場合は、どんな選び方をしようと、そもそも後悔するわけでもありませんから、そのような選択も当然存在するわけで、咎めようもありません。

しかし、悩んでいらっしゃる方も当然広い世界、存在されるわけです。建材と軽く思われている建築用のものであっても、「焼きもの」である限り皆様の知らないことが山程あるのも現実なのです。一部の方々の興味であって、そんなに語られるわけでもありませんが、じっさいに外壁のカラーを選ぶには、後悔しない選び方が必ずあるわけですすこしでもここで語られたことを、長年たずさわってきた立場として話してみました。

最後に、現状でもレンガタイルが求める今後も細々と主張しつづける要望は、(外壁自体、建築家との建築トーン計画の具体的抽出を印刷や塗装とは違った、レンガ一枚一枚の色彩細胞の集合体としてとらえ、経年劣化までを見通した判断が必要となろう。)