レンガタイルの外壁用カタログが少ない理由とは?

目移りしそう

今、外壁についてネットで検索すると、とても簡単にいろいろな情報が出て来ます。外壁材の主流は金額等も考え合わせてサイディングが人気です。サイディングにも金属サイディング、窯系サイディングと種類があるのですが、その中でも、やはり見た目に重厚感のある窯系サイディングのフェルティMGやネビアストーン調MG、親水セラなどが人気を高めているようです。どこまでもレンガ風の人気の高さがうかがえます。

しかし、人気なのに、なぜかレンガタイルの外壁用冊子の種類が少ないのです。そう感じる事自体、もう昔の人であると言われてもしかたがないでしょう。なぜなら、過去には様々なレンガタイル専用のメーカー、商社の扱うそれぞれのカタログが存在していたからです。頭の中で、過去様々な工場がなくなっていった経過が浮かんできます。そもそも、比較があってこそ多い少ないの話であって、現況の環境で外壁の設計活動をしている人々にとっては、特別な変化などないのかもしれません。

ネットで検索すれば、レンガやサイディング等の外壁の種類や外壁材に関するあらゆる情報や商品が存在しているように思えるわけであって、レンガの外壁見本が少ないなどと、どうして言えるのだろうかと指摘されそうですね。事実、すでに完成品の在庫商品を販売する商社、販売店がほとんどであって、消費者の個々の悩みを解決しながらものづくりするなどという、手間暇かかることを理由なくしてチャレンジする会社など、ありえないのです。どこかに、例えばレンガのようにできあがった存在する在庫品の情報を取り寄せ、在庫を確認してその外壁の現場にてあてはめる。そんな利用法が普通だからでしょうか。

なぜカタログ発行をしないのか

外壁用のレンガ冊子を発行する会社の少ない、第一の結論として、専門に扱う企業がほぼ新しく生まれておらず、大量消費で成立してきたビジネススタイルではいまや成り立たず、在庫の無い外壁用の商品をカタログで並べたところで、市場の求めている価値と逆方向に向かっていることを、知らぬうちに皆感じているからでしょう。

同じビジネススタイルを掲げ、外壁建材のなかのタイル分野でたくさんの受註を勝ち取っていくには、カタログ主導の販売スタイルが流通コストとしては良いのか、みなその商法を開示しながら、まねし合って、どこも同じスタイルで販売合戦がおこなわれているとしかみえない現実なのです。

実際に、レンガタイル外壁カタログが出版されているのは、皆大手商社や問屋業であって、国内の工場、窯元自体が、専用カタログをつくること自体が、ほぼありません。製作自体に専念したいがために、流通自体さえも製造元で行う事自体もまれなのです。

問い合わせがきたところで、個々に対応すること自体も難しい理由もあるでしょう。また多くは、販売先が多種あって、自力でレンガを販売すること自体にコストがかかって、出荷先の信用問題やスムーズな集金さえできかねる建設業界の事情も多く、経費とリスクが膨大にかかることも原因としてあります。また、大都市市場に対応しうる人件費を掛けて個々に開発すべく売上市場ではもはや無いことも大きな要因となっています。

ですからその結果、大手販売会社のレンガ外壁の見本帳において商品名や品番こそ変えてはいるものの、生産元、輸入元は一緒といったスタイルが多く、たくさんの見本をネットで取り寄せる人達にとって、「ああ、これも一緒のものか。」とがっかりした方もいるのではないでしょうか。レンガのつくり手が少なく、販売先が多い現在の業界では、互いに同じ商品の現場での取り合いなども予想されますね。

その差歴然

消費者はどこにいるのか

では、いったい、どこに消費者はいるのでしょうか?どこにこの大量多種の商品を売上として成立できる市場があるのでしょうか?カタログ市場やネット市場での情報公開によって、現場が発生された時点で、一瞬に販売市場が顧客層をコスト安の市場に誘引し、価格競争のなかで消費者を得るスピードが高いのだと思っています。じっくりと、消費者を教育し、潜在的な好みや個人の財産たる建築物に、付加価値を与えるべきチャンスが摘まれているのが現実と思います。

そこには、レンガ専門と見せかけた売り手が、目先の購入期待度を見込んで説得し、場合によってはそんなもの存在しません的なことすら言って済まされてしまうこともあると聞いています。なにしろ、専門的にレンガを説明できるプロの人材が恐ろしいほど国内にはもうおりませんので、仕方が無いといえば仕方がないのですね。

今までお話してきた流れを見ても、レンガタイルの外壁用の見本帳やサンプル帳に整然と番号管理され、特別な説明もなく、流通にながれていく この過程自体が、レンガタイル自体のものの価値を下げる要因になっているような気がします。

気がするというより原因でしょうね。レンガのカタログやサンプル帳があっても、色の選択においては、AとBがあれば、「AとBの中間はありませんか?」とい言ったぐあいに、建築の仕上がりに、個々が求める条件は、実に相当細かい要求度が存在し、結果的に販売活動員をてこずらせるのです。

先ほどお伝えしたように、レンガのプロの販売員がいないわけですから、私がここでその不対応を否定したところで、国内で「レンガタイル」に関してなんらかの必要性を生じた人が表れても、十分に付加価値ある対応をすることができないのが、現況なのだということです。探していただいて、ご指名でもいただかないかぎり、私も実現できないという結果になってしまうわけです。

納得いかない販売スタイル

この販売スタイルでなくしては、なりたたない建築材は山ほどあっていたしかた無いことですが、昨今の建築素材では、どうも、そんな販売方法自体が実は、求めている消費者自身が気に入らない、そうあってほしくない雰囲気が、すでに数十年前の現実とは、かなり違って感じられていることは事実なのです。なんでこのようなものしか無いのか? 使える候補となるようなものが無いと言った、建築士の声が聞こえてきそうです。

グラデーション

外壁見本帳が、すぐに揃い、ほしいものに行き着きたい。しかし、だれでもがひろく利用しているような規格ものではありたくない、自分自身も在庫品をコーディネイトするだけの仕様にはしたくない、どこにでもあるものとして思われたくない等の葛藤があるのです。

施主自身も、他人から「素晴らしい、きれい!」と評価される建築としたい、認めてもらいたいと考えるのは、財産たる建築を保持するだれしもの感情でしょう。特に、私だけの唯一の物として希望した通り実現したい、そんな消費者の心理は、時代とは関係なく存在する自然な思いでしょう。

今や、レンガタイルには、施主の生活スタイルまでをも表現する価値観に重みがあるのであって、「単なる高級素材。」的なことは、誰しもすでに、二の次三の次なのです。見本集から、ブローチのように1ピース購入して完結するものならまだしも、施主の生活スタイルを施工と共に壁面を完成することによってはじめて認められる仕事なのですから、買ってくるものでは無く、あつらえるものとなって商品の良さをお伝えしていくしか仕方がない事だと私は思うのです。

「レンガタイルの外壁カタログ」 印刷物としていつでも、代わり映えしなくならべられたご提案スタイルから、いつまでも疑問すら感ぜず、選択するというスタイルはもうやめましょう。床タイルを選ぶ場合のように、国内、輸入品の在庫タイルならまだしも、また商店建築用の内外装ならまだしも、建築家の求める特定な外装材の素材として求められる場合の選択には、掲載商品の現実の外壁用見本には限界があるのではないでしょうか。

昔は、赤い色のものが黙っていても売れた時代が相当長くありました。コンクリートとは違う、モルタルで目地を作った赤レンガの壁を高級素材として憧れる時代、自分の好みというよりも、街なかでみかけたあの雰囲気を自分の建物にも一度でいいから使ってみたいという、あこがれの感覚なのでした。ところが、建材のみならず、街なかで見かけないもの、珍しい仕上手法などが今や消費者の満足感として存在する時代になってきているともいえるのです。

みんなが持っているものがいい?

機能性や使い勝手及びブランド力としてのスマホのようなI phoneなどは、皆が持っているものとして欲しくなるのが人情ですが、建築となると真逆な現象です。それだけ、冊子に堂々と人々の眼にとまるレンガの価値など、どんどん下がってしまう気持ちも理解できるところでしょうか。

特に、建築という本来一品生産のものなのに、外壁一つみても、大手有名ブランドの外装施工例を見るたびに、タイルの商品名や品番が脳裏に表れてくるということは、建築家の気持ちを考えると、きっとおもしろくないことでしょう。

我々、外装の専門家となると、車で街なかを走っていても、つぎつぎとカタログをめくっているかのごとき感覚すら確かにあるのです。建材の外壁見本に掲載された商品が、建築に同化する素材というよりも、固有名詞化した商品としてめだってしまう、主張してしまうことになるのです。剥がれているところを見つけると、建物の持ち主に、「材料手配しましょうか?」などと余計なことを言いたくなってしまうのも個々のメーカー品番としてわかってしまう業界病のひとつでしょうか?(笑)

竣工

市販の外壁見本は、本来大量に倉庫に保管するような、いつの時期に購入してもロットぶれしないノンクレーム商品が流通するために必要なツールです。しかし、現況の生産在庫状況では、画像が掲載されていても、一部のものしか在庫が無いことも多く、予約しながら建築を進めることも多々あるというのが現状です。

建築家はそんな状況に、今後もそれを求めていくことになるのでしょうか?膨大な作業の中で、制約された選択環境の中で、個々に自身の創造性を発揮する時間的余裕もてず、それでもあえてその素材を求めていただけるのでしょうか?大変不安な時代です。

また、施主が興味と知識を持ち始めて、独自にメーカー・商社のショールームを訪ね、商品選びをすること自体もう珍しいことではありません。しかし、せっかく受注した建築の材料選択権を施主主導で行われては、建築家、設計士が、なにも感ぜずに好都合と思っている人は、ほぼいないはずです。

あくまで、施主主導の事を指摘しているわけですが、コストカットの為に既成品を選んだり、建築プランの中にすでに完成品の建材を違和感なく取り入れていくには、建築家の計画的準備があってのことであり、施主の選択後に考えていくことでは上手くはいきません。

素人とプロとの違い

選定する部分のみを対象としてモノ選びする素人一般人に対し、プロである建築家は、全体のバランスやオーナーの思想、生活哲学までも構成しようと深いプランをもっているものです。そこが、ほんとうに見事なものです。そんな建築家の日頃の姿勢を見ていても、いつでも揃う商品として、「レンガタイル」が求められる素材として、その外壁用カタログ内におさまっていられるかというとどうも違うような気がするのです。

本質に応えうるものであってはじめて評価を得るものとなり、外装のカタログを資料請求で希望されても、結局のところ印刷物では、なにも伝えられないじれったさがつねに存在しているのです。確かに「何があるのか?」という全体像には、「カタログ」といったスタートが伴わないとはじまらないこともあります。むしろ、外壁リフォーム施工事例などを見てもらった方がよほど現状が分かるというものです。

それでもやはり私の場合は、はじめからじっくりとお話をきいて、「今住まいの外観について何をどのように解決したいのか?」という意思疎通がなければ、なかなか通過されて終わり、お役立てできず素材の本当の良さを知っていただくチャンスをも逃してしまうことになってしまうのです。

現代の建材には、いっそう有機的な素材感が実は求められているのであって、且つ「個人」によってニーズが相当違う現況からすると、生産者の都合で生産したものが簡単に売れるほど消費者である施主、プランナーの建築家は、あまくは無いことは確かなことなのです。

細めで並べて

カタログを探すのならば

レンガタイルという専門分野に特化した場合には、やはり世の中のカタログ主義では私たち自身も成り立たないし、複雑怪奇なこの「土もの商品」において、カタログはクレーム発生の率を高めるべき販売手法と化すのです。

どの時代でも、固定して売れるものが、はっきりと露出している時代では、我も我もと同じようにカタログを大量に消費者の眼にふれさせることによって、動いていきますが、現状の日本の建築においての「レンガタイル市場」では、「なんでもあふれるほど取り揃えております。」的な発想では、いっそう貧弱な安物素材となって評価されないイメージがついてしまうのです。

ですから、その本質を表現し、伝達し、個々に納得した使い方をしていただくことに、活動の時間を惜しんではいけないのです。その外壁用カタログをお探しのさいには、印刷物ではなく、個々の販売担当者の脳内カタログをチェックしてみては、いかがでしょうか?