還元タイルというものについて

外壁レンガタイル

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レンガタイルに覆われた、美しい住宅。凛とした佇まいが魅力的です。不思議と田園調布や成城などの住宅地には、レンガタイルを使用したお宅が多いように思います。

さて、そのレンガタイルをよくよく見てみると、実はその色合いが均一なものと、大きく色むらが出ているものがあることに気づくと思います。そもそもレンガタイル自体が焼きものですから、多少の焼き色のむらはあっても当然なのですが、大きく差が出てしまうのはどうしてでしょうか。

酸化焼成による酸化タイル

レンガタイルの焼き方には、酸化焼成と還元焼成という2つのタイプがあります。酸化焼成は、窯の通気をよくしてしっかりと酸素に触れさせて焼きあげる方法です。釉薬や、タイル自体に含まれる酸化金属が酸素と反応して色が現れます。これは比較的むらのない、安定した焼き上がりになります。一般的なタイルは、この酸化焼成によって製造されますので、よく見かけるのはこちらではないでしょうか。

還元焼成される還元タイル

一方、まるでグラデーションのように1枚のタイルの色合いが異なるものが、還元焼成されたものです。こちらは還元タイルと呼ばれます。こちらは酸化焼成と異なり、窯内に酸素があまりない状態で、少しずつ温度を上げながら焼成します。そうすることで、酸化焼成の時とは反対の化学反応が起こるのです。材料である土や釉薬に含まれている金属化合物の反応は、その時の温度や酸素濃度によって大きく左右されます。そのため、色むらが大きく出てしまうのですが、それが他にはない独特の魅力となっています。

この還元タイルは、同じ色合いに焼きあげるのは非常に難しいものとなり、高度な技術と経験が必要になってきます。また、窯は外にありますので、必ずしも一定の気温の中にある訳ではなく、四季の変化や時間帯、天気などにかなり左右されます。画一的なものが欲しい、という場合には、還元タイルは向きません。しかし、その色むらを深い味わいと捉え、好む人はとても多いのです。

還元タイルを使用する際の注意点

建築物にこの還元タイルを使う場合には、いくつか注意点があります。それは、カタログや、すでに施工された建築物で見たものと全く同じものはまず手に入らない、ということです。ご説明したように、外気温や天気、湿度、酸素の量、金属の含有量によってその色合いは変わってきます。同じような色で、同じような色むらが出てくれるということはほぼありません。ですから、還元タイルを使用する際には、カタログだけを見て決めるのではなく、サンプルを複数種類取り寄せて検討をするのが賢明です。

還元タイルとは、全くそれを知らない人が使おうとすると、「こうじゃなかった」というようなトラブルが起こりやすいものです。一枚のタイルや色見本を見て、グラデーションが全て同じように起こると考えてしまうからです。その点に関しては、還元タイルを使いたい、と依頼された建築家や業者の担当がしっかりと知識を持ち、還元タイルの特性に関して詳しく説明を行える状態にしておくことがとても大切となります。

できれば、どのようにして作られるのか、どのような条件下ではどんな風な焼き色になりやすいのか、なども知識として仕入れておくと安心です。そして、均一的なものを施主が求めている際には、迷わず酸化タイルの方を勧める方がよいでしょう。

還元タイルをお勧めしたいパターン

味わい深い還元タイルを使った住宅は、他とは違う美しさを放つものになります。同じ壁の中に大きなグラデーションが出来上がったり、色の移り変わりが楽しめたり、というのは還元タイルならではです。ひとつひとつの表情の違い、光の当たり具合による色の変化などを楽しみたい、朝昼晩の微妙な変化を楽しみたい、という方にこそ、還元タイルはお勧めだと言えます。

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